日本の中小企業約156万社のうち、従業員数20名以上の会社は約13%程度と見られています。
(中小企業庁「平成30年中小企業実態基本調査報告書」より抜粋)
年商で言うと、1億円から数年で3億円以上になる会社もあれば、5年・10年経っても1億円のままの会社もあります。
例えるなら、階段の踊り場まで上りながら、なかなか更にその上の階に上れないと言った状況です。
なぜ、これだけ多くの差が生まれ、また階段の踊り場から長期間抜け出せない状況にはまるのでしょうか?
社長の責任感が強く すべてを自分でやろうとしてしまう
何百人と言う中小企業の経営者を見て来ましたが、「自分がやらなきゃ会社はまわらない」と思っている社長の会社は、何年経っても年商1億円を超えられなかったり、その前後で停滞している事例が非常に多いのが特徴です。
「自分がやらなきゃ」と思っていなくても、「自分がやらなきゃ会社が維持できない」と言う状況におちいっています。
これは、特に自分が創業者で、会社設立が5年以内の比較的若い会社の社長に良く見られます。
自分で作った会社に非常に愛情と責任感を持っており、その会社を維持・発展させるために自分のプライベートをすべてささげてもかまわないと言う思いで、会社を経営しています。
そんな社長の中には、営業力が並外れた人もいるもので、会社の売り上げのすべてを社長自身で作っている人もいます。
しかし、社長一人でできるのはここまでです。
どんなに営業力がある社長でも、自分のキャパ以上に売り上げを上げることは実質的に不可能なのです。
社長が自分の分身を作ろうと思っている
「自分でやらなきゃ」と思っている社長が、心を入れかえて「社員の力を借りよう」と思った時に、ついやってしまうのが
「自分の分身・ロボットを作ろう」
と思ってしまうことです。
そう言った社長の特徴としてあげられるのは
1から10まですべて事細かに社員に指示をする
ことであり、特徴的な口ぐせとしては
「俺の言うとおりにやっていればいい」「とにかく何も考えずに動いてくれ」
と言うものです。
「ただでさえ時間がないんだから、俺の言うとおりに動いてくれればいい」と言うわけです。
しかし、ここには決定的な欠点があります。
それは
社員は指示されるだけでは、社長と同じ思い・覚悟で働くことはできない
と言うことです。
社長の立場と社員の立場には明確な違いがあります。
「責任」や「覚悟」、会社が倒産した時に背負うリスクなど、双方の気持ちには大きな隔たりがあるため、社長が一方的に指示をするだけでは、社員が機能することは無いのです。
「なんでできないんだ」と言う言葉が出る社長、社員の立場に立てない社長は、やはり自分が一番の戦力として頑張り続けるしか方法が無いのです。
売り上げの大半を ごく一部の社員が作っている
業績が停滞している中小企業で良く見られるのが
「ごく一部の優秀な営業マンが会社の売り上げの大半を作っている」
と言うパターンです。
これは、イタリアの経済学者のパレートがが提唱した
「売り上げの8割は2割の社員に依存する」=パレートの法則
にも見て取れる指標です。
しかし、冷静に考えると、この状態は非常に危険とも言えます。
なぜなら
該当する2割の社員がいなくなると8割の売り上げを瞬時に失う
と言うことになるからです。
その原因は
スキル・知識の属人化
があげられます。
中小企業では資金や時間的な関係で、社員を育成する仕組みがない会社が多いのが現状です。
よって、即戦力として中途採用で優秀な人材を雇う、言ってみれば「安易」な方法につい走りがちになります。
もし、運よく優秀な人材を雇うことができ、一時的に会社の業績が伸びたとしても、
その経験やスキル・知識が属人化していて、ほかの社員に共有される仕組みがない
ために、その社員が退職してしまうと会社の財産として残ることがなく、また一から業績を上げるため動かないといけないと言う悪循環をまねいてしまうのです。
これは、中小企業ならではの悪循環の流れと言えるでしょう。
「自分がもっと」ではなく 社長がいかに身軽になるかを追求する
中小企業の経営者は、自身で会社を創業した人も多く、会社にたいして責任感や覚悟が強いため、どうしても「自分がさらにがんばろう」と動いてしまう社長が非常に多いです。
しかし、現時点で業績が頭打ちになっているとしたら、それは現状が社長一人で業績を上げる限界であることに他ならないのです。
現状を変えずにそれ以上いくら社長ががんばったとしても
「社長の器」以上に業績が上がることはない
のです。
この時点で、社長がやるべきことは
自身一人での業績の限界を認め、社員に権限を落として自身が身軽になる
ことです。
つまり、野球で例えれば
選手としての立場を引退し、監督の立場に変わること
と言えます。
もし、社長が1か月会社を留守にしてバカンスに行ったとしても、社員の力で今まで以上の業績を上げる仕組みを作ることが出来れば、ずっと立ち止まっていた階段の踊り場から脱し、次のステージにかけあがることが出来るでしょう。
しかし、そのためには、
社員が一定の価値観や方向性(ベクトル)に基づいて自律的に動く
仕組みをつくることが必要になります。
優秀な一部の社員だけではなく、社員全員の 力による「自律型組織」をつくる
一部の優秀な社員に業績の大半を頼っている組織は、いずれ停滞をむかえます。
中小企業は人材が流動的なため、優秀な社員であるからこそ、さらに良い待遇を求めて会社を去ってしまうことも普通に起こりえるのです。
会社の業績を安定させ、確かな成長軌道に乗せるためには
社員全員が自律型人材に成長し、全社員の力で会社を成長させる
ことが必要なのです。
社員個人の能力・スキルを属人化させずに
誰もが再現できる仕組みに昇華させる
中小企業が継続的に安定して業績を上げるためには
業務の標準化(マニュアル化)を実施し、どんな能力の社員でも再現可能な仕組みをつくる
ことが必要です。
とかく、中小企業は中途入社の即戦力を中心となることから
能力やスキルが当該社員のみのものとなりやすい
傾向があります。
これが、いわゆる「業務の属人化」です。
この状態は、非常にもったいないことであり、また、会社の業績を停滞させる一因になります。
1人の社員が持っている、素晴らしい能力やスキルを「仕組み化」することで、再現可能な会社の財産とし、それを使うことで、社員の誰もが均一な仕事での成果(標準化)を出せるようにすることが非常に重要なのです。
中小企業の多くの経営者が、会社の業績が停滞してしまった時に
1、社長自身である自身の力にますます頼ってしまう
2、社員の業務に今まで以上に介入する
と言う、誤った改善方法を実施してしまい、現状から抜け出せない状態に陥ってしまいます。
「中小企業型自律社員育成メソッド」は、会社の業績が停滞する要因は上記の問題の解決ではなく
1、全社員の方向性・仕事観を一致させることで自律型社員を育成し、能力を上げる
2、各社員の持っている能力やスキルを再現可能な「仕組み」に落とし込み、平準化させる
ことで、階段の踊り場から抜け出せない現状を打ち破り、成長軌道に乗せる組織をつくりあげる、中小企業の業績アップに特化した、中小企業のためのメソッドです。
ぜひ、当メソッドを実践することで、継続した会社の成長を実現してください。