中小企業の人材育成で実行すべき3つの重要なポイント

中小企業の人材育成で実行すべき3つの重要なポイント

 

「中小企業での人材育成のやり方がわからない」

「中小企業が大企業に育成で勝てるわけない」

 

今回は中小企業の人材育成になやまれている経営者・管理職の方にむけてのお話です。

企業が発展するためのポイントの1つに「人材育成」がありますが、とくに中小企業では人材の育成はかならずやるべき重要な課題となります。

なぜなら中小企業は大企業とくらべ、企業が発展するために必要とされる三大経営資源「ヒト・モノ・カネ」のうち「モノ」と「カネ」の面で対抗することは事実上不可能だからです。

2つの点でおとっている中小企業は優秀な人材を育成することが第一優先でやるべきことであり、優秀な人材が育成できなければ、企業の生産力が下がり存続することも困難になってしまいます。

しかし「モノ」「カネ」とちがい人材の育成はやり方によるところが大きく、中小企業であっても優秀な人材を育成することで企業の発展につなげることができるのです。                                        お金をかければ優秀な人材が育つと言うことではないのがおもしろいところです。

「ヒト・モノ」が不足している中小企業が、どのように優秀な人材を育成し発展していくべきなのか、今回は中小企業の特性をいかした人材育成のポイントをご紹介します。

 

1、社長の思いを徹底してつらぬいた人材の採用

 

 

 

中小企業の人材育成で実行すべきポイントの1つめは「社長の思いを徹底してつらぬいた人材の採用」です。

そもそも育成の前段階の話にはなりますが、人材を採用する時には企業・採用希望者ともにすべての不安がなくなるまでとことん話しあい、その時点で企業理念や社長の考え方に合わない人材は絶対に採用しないようにします。

なぜなら社長が不安をかかえたまま無理に採用する損失は時間や資金で余裕のない中小企業にとっては致命的になるからです。                           「育成の失敗」による傷口を最小限にとどめるためには非常に重要です。

中小企業では中途で人材を採用することが多いですが、希望者は前社での経験や価値観をもっています。もし自社の理念や社長の考えにそぐわない場合、その前社でつちかったものをかえることは容易ではないのです。

この点は中小企業で社員の育成にたずさわってきた私も何度か痛いめにあっています。

「とにかく欠員の穴をはやくうめなければならない」と言うあせりから、自分の中に違和感をのこしたまま採用した社員が短期でやめてしまったと言うにがい経験をしました。

よってどんなに人材が不足していても自社の理念や社長の考えにそぐわない人材は採用してはいけないのです。

では具体的に上記のほかにどのような方法で採用をすすめるべきなのでしょうか?

 

⓵企業の良い点だけではなく悪い点もすべてさらけだす

 

えてして人材の採用となると自社の良い点のみを話してしまいがちですが、入社すれば悪い点もいずれ見えてくるものです。                        その時点で「これはしらなかった」「こんなはずじゃなかった」と言う思いが早期での退職につながってしまいます。

よって採用の時点で自社のいたらない点をはっきりと希望者に明示し、「ともに良い企業にしていこう」と言う視点で話をすることが重要です。

 

 

②面接の形ではない「雑談」の時間をとる

 

これは希望者の「素」の部分を見ると言う点で非常に重要です。

希望者は面接にむけてしっかりと準備をしてのぞんでいることが多く、質問を想定しあらかじめ回答を準備していることも少なくありません。

つまり「面接」では希望者の本当の人間性は見えない部分が多いのです。

よって別に時間をもうけて雑談形式の話しあいの場をもうけることで、希望者の言動や素ぶりを観察しましょう。

特にこちらが話したり質問したりした時の一瞬の反応にその人の本質がかくされていますのでそこに注視しながらのぞむことが重要になります。

 

 

⓷今までの人生のふりかえりをしてもらう

 

面接にのぞむ前段階として希望者に「人生のふりかえり」の課題を出すのも有効です。

その際は今までに「印象に残っている出来事」や「転機となった出来事」を中心に「その時何を思ったか?」「そのことが今の自分にどんな影響をあたえているか?」などを中心に作成してもらいます。

その文面から希望者の価値観や考え方を読みとることができます。

私が以前勤めていた会社でも人材を採用する際にはこの課題を提出してもらっていましたが、非常に希望者の本質の部分を見ることができ採用する際の大きな参考になっていました。

上記3点に共通することは「希望者の本質を知る」ことであり、社長の思いを共有し優秀な人材に成長してくれるかどうかをはかる指針となるのです。

2、社長と社員の近い距離感をいかした全員経営

 

 

 

中小企業の人材育成で実行すべきポイントの2つめは「社長と社員の近い距離感をいかした全員経営」です。

中小企業では社長自身が人材の育成にうごき、自身の言葉で語ることが重要です。

なぜなら中小企業は社長と社員の距離が非常に近く一人ひとりと話す機会も多いため、社長の思いがストレートにつたわりやすく、また効果も短期間であらわれやすいからです。                                                 これも大企業にはない中小企業ならではの特徴になります。

人材を育成する社員の不足やかける時間がないことも逆に利用しましょう。

社員全員で人材を育成し、特別ではない通常の時間を常に育成の時間と考えるのです。

私のたずさわっているA社の社長は「社長室」をなくし社員とともに机をならべています。                                                     そしてできる限り1日1回は社内をくまなく歩き社員一人ひとりに声をかけるようにしています。

それによって社長は「社員との距離が非常に近くなり全員で議論する機会が増えた」と言います。                                         それは社員一人ひとりが自身で考え成長することにつながっていると言います。

またB社では社員に講師をつとめてもらう「社内セミナー」を定期的に開催しています。

時間は夕方からの時間外、参加は自由、内容は商品の説明や事業展開の状況、更には自身の仕事の内容や今後やりたいことまで様々ですが、時間外・自由参加にもかかわらず回をかさねるごとに参加者が増えています。

発表者は講師未経験者が多いなか、いざやると決まると必死に内容をまとめ参加者に共有できるように努力をすることで、自分で考えうごく人材が育っていくと言います。

こう言った社長みずからうごくことで思いが社員につたわり、また社員一人ひとりが自分の仕事に責任をもって取りくむしくみをつくることで優秀な人材は育っていくのです。

社長と社員の距離が近いことは中小企業の特権です。よってその特権を最大限にいかして各企業ならではのユニークな人材の育成をぜひ見つけましょう。

 

3、小規模組織を逆手にとった多角的・きめ細やかな評価体系の作成

 

 

 

中小企業の人材育成で実行すべきポイントの3つめは「小規模組織を逆手にとった多角的・きめ細やかな評価体系の作成」です。

中小企業での人材評価は年功序列で決めることをせずにスキルや行動・貢献度などを考慮して相対的に評価することが重要です。

なぜなら中小企業は社員全員が貴重な人材であるため、多角的できめ細やかに「認める」ことでモチベーションを上げる必要があるからです。                                                          そしてこれも上記2にも書いたように社長と社員の距離が近いからこそユニークな施策が実行できるのです。

「数字」と言った測定可能な指標のみで評価をするのではなく、社員の役割に合わせた評価項目にたいする適切な評価、評価に応じた処遇が社員のモチベーションをあげ成長を促進させます。

つまり一人ひとりの社員にたいして評価項目はかわると言うことであり、営業には営業の評価項目、業務には業務の評価項目があるのです。

先ほどご紹介したA社では全社員にたいして期首に目標をあげてもらい、社長自身がその年の自社の目標とてらしあわせながら双方でブラッシュアップしていきます。                                                             そしてその評価項目は非常に多岐にわたっており、営業成績の数字にはじまりユニークなものでは「あいさつの回数」や「何回同僚をはげます」と言ったものまでふくまれています。

さらに社長が社内を歩きまわることで社員一人ひとりのなにげない行動や発言を観察し評価項目を見つけると言うことまでやっているのです。

そうすることで社員が「しっかりと認めてくれている」と認識をし、自身がかかげた目標を達成し成長するためにうごきはじめると言います。

社長は「日のあたる表の行動」だけではなく「日があたりにくい裏で地味な行動」であっても企業の目標に貢献するものであれば評価項目にくわえ、多角的に社員を認め、評価していく必要があるのです。

ぜひあなたの企業にあった多角的でユニークな評価体系を考えてみてください。

 

4、「寄親・寄子制」で主従関係を強化し発展させた今川義元

 

 

 

今回の「中小企業の人材育成」と言うテーマで参考になる戦国武将は「海道一の弓取り」とうたわれ、一代で東海地方での勢力を拡大した今川義元(いまがわよしもと)です。

義元と言えば隣国の「戦国時代のスーパースター」である織田信長に「桶狭間(おけはざま)の戦い」において奇襲にあって敗れたと言うエピソードから「ぼんくら大名」として良く語られますが、実はこと企業経営にかんしては非常に優秀な社長でした。

義元は兄である氏輝(うじてる)の後を受けて今川家の社長に就任しますが、義元がとった施策が冒頭にある「寄親(よりおや)・寄子(よりこ)制」です。

「寄親・寄子制」は上役である「寄親」が家臣である「寄子」を家族同然に面倒をみて育成すると言ったものですが、義元はこの制度を取りいれることで「家臣団の結束強化」と「より距離のちかい人材育成」をめざしました。

「寄親・寄子制」により寄親である上役の武将はより責任を持って寄子である家臣の育成に取りくむことになり、義元もその功績にたいして多角的に評価をおこなうことを心がけました。

その結果、義元の時代に今川家は大きく発展し現在の静岡県・愛知県にまたがる広大な領土を獲得する最盛期をむかえたのです。                                                             まさに中小企業ならではの「社長と社員の距離感」と言う強みを最大限に利用し発展した例と言えるのです。

 

 

 

今回は「中小企業の人材育成」についてご紹介をさせていただきました。

中小企業の人材育成は大企業にくらべどうしても「あとで」「時間があったら」と言うことになりがちです。

しかし中小企業が発展するためにまずやるべきことが「人材の育成」であり、それは社長と社員の距離が近い特徴をいかして社長みずからが強い決意をもってのぞむことが重要になります。                                                 そして中小企業ならではの多角的でユニークな方法により人材を育成する必要があるのです。

ぜひ今回ご紹介した中小企業の人材の育成に有効な3つのポイントを実践し、優秀な人材を育成してまいりましょう。

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