経営者に必要なリーダーシップを発揮するための3つのスキル
「経営者としてどうリーダーシップを発揮すれば良いのかわからない」 「リーダーシップを意識して社員と接しているもののうまくいっていない」
今回はそんなお悩みを持たれている中小企業の経営者の方に向けてのお話です。
会社のトップが考えるべきものの1つに「どう経営者としてリーダーシップを発揮するか?」があります。 なぜなら経営者のリーダーシップ次第で社員の意識・考えかた・仕事への姿勢やモチベーション等に大きな影響をあたえるからです。
会社にとって「社員」はかけがえのない財産ですが、その中心の柱である経営者次第でよい方向・わるい方向どちらにもむかってしまうのです。 それほど経営者が正しくリーダーシップを発揮することは重要になります。
リーダーシップとは「指導力・統率力」などと表現され、ビジョンを明確にして目的達成のため社員やチームの行動をうながす力を言います。
今回は経営者が発揮するべきリーダーシップの3つのスキルについてご紹介します。
1、主導力
経営者に必要なリーダーシップ、1つめは「主導力」です。
経営者およびリーダーは組織やチームのミッションやビジョンを社員にしめし、すすむべき方向性を明確にみちびく必要があります。 なぜなら、それにより社員の気持ちを1つにし、大きな力とすることで社内に一体感をつくることができるからです。
たとえば夏になると熱いたたかいを展開する高校野球はリーダーである監督が「全国優勝」と言うビジョンをかかげ、それに選手が共鳴し達成のために一丸となり努力をすることでチームの一体感を生みだします。 そしてそれがビジョン達成のための大きな原動力となるのです。
この場合に注意する点があります。
それはチームや社員の仕事のレベルに応じてリーダーシップを発揮する、介入する度合いを調整すると言うことです。
たとえばベテランや管理職のような仕事のスキルが高く社員やチームがみずから考え行動するベースがある場合には、ビジョンをしめし意思決定にはかかわるものの具体的な仕事のすすめ方についてはそれぞれの裁量にまかせます。
逆に新人やその仕事について豊富な経験をもたないチームや社員については、仕事にたいする介入の度合いを深めより具体的な指示を提示しなければなりません。
これは「強制のリーダーシップ」とも言われるものですが、この状態はチームや社員が永遠に自分で考えて行動する土壌ができないため仕事のレベルが上がるにつれ徐々に前記の「まかせる」状態に移行する必要があります。
2、設計力
経営者に必要なリーダーシップ、2つめは「設計力」です。
経営者およびリーダーはビジョン達成のための道筋を明確に設計する必要があります。 なぜなら期間や行動すべき点が具体的でなければ社員はどう動いたらよいのかわからないからです。
会社のあらゆる経営資源を最大限に活用する。これは資金や資産と言ったものにとどまらず社員と言う人的資源においてもチームや社員の能力やスキルも同様であり、それを実現するために社内の状況について正確に把握しておく必要があります。
ビジョン達成のための設計プロセスは主に以下になります。
⓵現状を把握して目的(課題)をはっきりさせる
②本質的な部分について課題の仮説を設定する
⓷過去の数値やデータから客観的に判断する
⓸課題が解決された後の理想の状態をもとに達成手段を検討する
⓹「優先順位」「実行可能性」をもとに検証したものを取捨選択してしぼりこむ
⓺実行したらどうなるかの結論をだす
⓻おおよそのスケジュールをたてる
3、コミュニケーション力
経営者に必要なリーダーシップ、3つめは「コミュニケーション力」です。
経営者およびリーダーは権限をチームや社員に委譲し、ビジョン達成のために必要な仕事を適切に指示する「伝達力」が必要です。 なぜならチームや社員に仕事の指示がまちがった意味でつたわったり取引先に誤解をあたえると言った問題がおきる可能性があるからです。
仕事の指示をしたり割り振ったりするリーダーにとっては必要なスキルと言えます。 そして、その元となるのがコミュニケーション力になります。
ポイントは下記の3つになります。
⓵ゴールを意識しながらつたえる
→社員は「何を」「どのようにしたら」ゴール(完成形)なのかが明確になり、正しい行動をおこしやすくなる
②結論から先に話す
→結論→理由→例→結論と言う順番で話すことで社員の理解度がふかまる
⓷数字を使ってポイントを強調する
→日時や量、質などを数字であらわすことで認識の違いを解消する
4、強制型から主導型への転換
私は25歳の時にはじめて2人の部下を会社からあずかりました。
それまでは1人ですべての仕事をこなしていたことで「自己完結型」の仕事のしかたが完全に身についてしまっていました。 つまり「人に仕事を依頼する」と言う経験をまったく経験せずに部下をあずかってしまったのです。
その影響は間もなく悪い形であらわれます。
部下に仕事を依頼するものの「待てない」「仕事の質に納得がいかない」等の理由からことあるごとに部下の仕事に口をはさみ、あげくの果てには「ただ単純な作業を機械的にやってくれればよい」と部下を「道具」のようにあつかうようになってしまっていたのです。
その結果、部下は無気力になり、ただ来た仕事をこなすだけの「指示まち」になってしまいチームの士気は完全に落ちてしまいました。
そこから私の試行錯誤がはじまりました。
「強制型」から「主導型」への変換をめざしたのです。
はじめに部下とビジョンの共有をするために時間をかけて話しあいをしました。
「なぜ自分たちのチームがこの会社に必要なのか」「何をすることで会社に貢献することになるのか」そして「今の仕事をすることで自分たちにどんなメリット(価値観)の達成があるのか」などです。
その結果、自身と部下の向いている方向が一致し、共通の目的にむかってはしる体制が出来上がりました。
つぎに部下にたいしての「言ったことだけやってくれればよい」と言う考えかたを改めるよう努力をし、部下一人ひとりの現状をただしく把握すべく定期的に話しあいの場を持つようにしました。
そして部下それぞれの「まかせられる仕事」と「まだ経験がたりない仕事」を把握するようにつとめたのです。
それにより「強制型」一辺倒ではないバランスのとれたリーダーシップをおこなうことが徐々にできるようになりました。
1人の部下はほぼ新人だったため「強制」のリーダーシップに重点をおき、もう1人の部下は自社での経験が3年ありひと通りの仕事を経験していたため意思決定にはかかわるものの仕事の具体的な進めかたについては部下の裁量に任せるように心がけました。
上記の2点をねばり強くつづけることで結果として部下が主体的に仕事をすすめる働きがいのあるチームが生まれ、自身も安心して仕事をまかせられる体制ができあがっていきました。
5、家臣によってリーダーシップを使いわけた豊臣秀吉
百姓の身分から天下人にまでのぼりつめ「日本一の出世人」と言われる豊臣秀吉。
その要因は秀吉自身の不断の努力もさることながら、それ以上に優れていたのは家臣の使いかたにありました。 彼が天下人になれたのはあらゆるタイプの家臣の特性を活かしきったことにあると言えます。
秀吉は家臣のタイプによってリーダーシップの方法をたくみに変え、家臣の能力・スキルを最大限にのばしました。
また、生まれつきの武士ではなかったため、自身の目で見きわめた多種多彩な人材をスカウトすることで独自の家臣団をつくりあげました。
その中にはのちに熊本城を築城した加藤清正や豪傑として知られる福島正則、そして秀吉が鷹狩り中に休憩した際に出会ってスカウトしたのちに「関ヶ原の戦い」で徳川家康と戦った石田三成などあらゆるタイプの家臣がいたのです。
しかし彼らにたいする秀吉のリーダーシップは一律ではありませんでした。
加藤清正や福島正則などの感情で動くタイプの家臣には天下統一と言うビジョンを共有し、また、介入度合いを増やして優秀な武将に育てあげて行きました。
一方、石田三成のような理論で動くタイプの家臣には、ビジョンを共有しながらも現実とのギャップをも明確にみせ、彼の実務能力が最大限に発揮されるように仕事の指示はだすものの具体的な方法については任せることで三成の能力をのばしました。 それにより三成は豊臣政権には欠かせない秀吉の「懐刀」として「検地」をはじめとした内政に大いに力を発揮していくことになったのです。
百姓出身の秀吉にとって唯一の経営資源だったとも言える「家臣(社員)」を最大限に活かすリーダーシップを発揮することで国(会社)の発展にみちびいた良い事例と言えるでしょう。
リーダーシップとは先頭に立ち走ることだけではなく、会社や社員の状況に応じて柔軟に対応していく力がもとめられます。 ぜひ、御社の実態にあった経営者のリーダーシップを発揮して更なる社員の成長・会社の発展をめざしてまいりましょう。
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